3年目看護師の悩み・・・何もできない

看護

先日、今年3年目になるナースちゃんが、院内の症例発表抄録が、出来上がったと嬉しそうに報告してくれた時の話。

最初は、嬉しそうに症例の話をしていましたが、話をしていくうちに内容が逸れ、リーダー業務の悩み相談へと話が変わっていきました。

うちの病院は、日勤にリーダーと数人のメンバーで業務を行います。

新人は2年目から、リーダー業務を行うようになるのですが、業務内容は、メンバーからの情報を集約して、医師へ報告・指示を受けてそれをメンバーに伝えることが、含まれます(ほかにも色々ありますが)その子の悩みは、自分がリーダーの時医師へ上手く思いを伝えられないと言うことでした。

今までの経験値から、この患者さんにこんな指示をだすの?とか、点滴の指示をだしてくれないの?とか、自分なりに、『点滴したほうが良いと思いますけど』など、医師に聞いてみたりしても、取り合ってくれない。

なんて自分は、何もできないのか。

ほかの人がリーダーの時は、もっと上手くやれているのに。自分がリーダーの時は、適切な指示をもらえることができないから、患者さんが可哀そう。

自分は、全然出来ていない・・・・

可愛らしいお顔の、大きなお目目から、大きな涙がポロポロと・・・

ありゃりゃ。これは、穴に落ちてますね。

新人から中堅に向かうときに色々なことを勉強して、経験して、考え方が変化していったり、業務に追われて本質を見失ったりすることがあります。

この日の、3年目ちゃんもそれに近いところがありました。

本人が、言いたいことを全部話し終わるまで、相槌をしながら聞き、彼女の思いを一緒に振り返ってみました。

悩みの原因

① 自分が上手く患者さんの状態報告ができていないから、自分が思う通りの指示を出し   

  てもらえない。だから患者さんが可哀そう。

② 先生と上手く、コミュニケーションが取れていない。

一緒に考えたこと

①に対して 

まず、メンバーからの報告をそのまま、医師に伝えていないかどうか?

(自分の目でも状態をきちんと確認しているか。)

医療行為の指示権があるのは、医師のみであること。

私たちは、看護師であること。

看護師の看護とはどういうものなのか。

②に対して

当病棟の医師は70代の高齢医師であり、そもそも看護師に意見をされることが嫌いな  

医師であること。

ましてや、自分の子供以下の年齢の女の子に、意見など・・・

アドバイス

 彼女が、患者に対して抱いている、申し訳なさ、不甲斐なさ、彼女のやさしさ、彼女のひたむきさ、

 頑張りに対しては、最初に認めて、受容し、褒めています。

①に対して

忙しいのを理由に、報告だけで動くのではなく、きちんと自分も患者さんの元へ足を運び、自分の目で状態確認・把握をしてリアルに報告することが必要だった。

必要ならば、医師にも実際確認をしてもらえるよう、訪室を促す声かけも必要。

医療行為の指示権は医師であり、看護にはない。

もし、患者に自分の思う医療行為を行いたいのであれば、医師になるしかないということ。

自分の考える、医療行為を、医師が指示しないからと言って、何もできないわけではない。

その患者さんに出来る ことは、看護面からいくらでもあること。

学生時代に実習で行ってきたことを思い出し、患者の身の回りの世話・案全・安心・安楽に対する看護を考えてみること。

②に対して

昭和の高齢医師なので、仕方のないところもあるのでは・・・意見をするのではなく、ただ事実のみを報告して、その後の判断には自分の思いを乗せる必要はあまりないのではないか

私の実体験も、話してみました。

昔、COPDで入院していた、70代男性患者がいました。職業は、腕時計の修理屋さんでした。

入院して、点滴治療・内服治療といろいろされていましたが状態はあまり改善されていませんでした。奇麗好きな方でしたが、病院では、入浴は2回/週。その入浴の日に状態が悪ければ、入れない。と、清潔保持がなかなかきちんと管理できていなかったので、毎日バケツにお湯を張って、ひざ下の足浴を行うことにしました。

お湯に足をつけている間、足の裏・ふくらはぎをマッサージして。

そんなことを4日ほど続けていったころ、患者さんの意欲が上がり、状態も改善し始め、病室で腕時計の修理作業を始められました。

体力が改善し、その方は自宅へ退院されていきました。

足浴が、患者さんにどのような効果をもたらしたのかは、はっきりとは分かりません。

本当はお薬が効いて良くなったタイミングだったのかもしれません。でも、足浴をしているとき見せてくれたあの笑顔が私にはとても嬉しく、誇らしく思い出に残っています。

3年目が出した答え・言葉

点滴をしたり、指示を受けたりする事のほうが、大事な仕事だと考えるようになっていた。

今は出来ないことより、まず自分が患者さんに出来ることを、考えて見つけてみます。

私なんかが先生に意見しても、聞いてくれるわけないですよね(笑い)看護師の仕事の、目的を少し考えてみます。

看護師として業務に当たり仕事を続けていくと、ドラマなどで観る華やかな医療行為が、カッコイイ看護師の仕事だと、それこそが看護師の仕事だと思うようになりがちです。たしかに、それも大切な仕事ですが、患者さんに近くて、地味な仕事にも大きな意味があると思っています。地味な積み重ねが、患者さんに対して状態観察能力を上げ、ひいては、スタッフ・医師からの信用度も上がっていくように思っています。

         

  

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