89歳で他界した、ばあちゃん。約8年間認知症になって自宅で生活をしました。ところで、七輪って知ってますか?昔の人が、食べ物を焼くために使っていた道具。
火の元が、怖いから
まだ、キクちゃんが(うちのばあちゃんの愛称)が、はっきりと認知症と分かる前の時期。
家族は、仕事・学校に行っていたので日中は、キクちゃんが1人で家にいました。
元気な頃は、色々家の家事をしていたものです。
『近頃、ばあちゃんの行動がちょっと変・・』と、母は、思い、昼間キクちゃんが1人の間は、ガスの元栓を、閉めることになりました。
キクちゃんには、『昼間は、危ないから火は使わないようにしよう』と、説明していました。
キクちゃんは、キクちゃんなりに理解していたと思います。
そして、いざ昼間はガスの元栓を閉めることに。
何日間は、特に問題なく経過しました。
キクちゃん。庭で、ゴソゴソ。
ある日の事でした。
夜勤明け、家に帰ってくると、勝手口の奥の方で、キクちゃんが何やらゴソゴソしておりました。
私: 「ばあちゃん。何しよると?」
キクちゃん: 「ちょっと、探しもんしよるとーー」
しばらく、ゴソゴソしていましたね( ´艸`)
風呂から上がっても、ゴソゴソ・・
何を探しているのか?再度。
私: 「なん探しよるん?手伝おうか?」
キクちゃんのところに行き、声を掛けましたが、目が点・・・・
なんで、七輪????あっぶな!
物置の奥から、七輪を探し当て、使う炭も探し当て、きっちり準備万端状態。
ちなみにですが、七輪なんて、いつも使ってないですよ。
昔に、父が「肉を七輪で焼くと、うまいぞ!」と言い、どこからか持ってきて、使うことなく倉庫に置かれていたものです。
家族のほとんどが、その存在を忘れていました。
しかし、キクちゃんは何故かしっかりと覚えていたんですね( ´艸`)
キクちゃんは、真剣モードで、さあ、もう使えるぞ!!ってな感じ。
私:「ばあちゃん何しよると?危ないよ!」
だって、ガス壊れて火がつかんけ!!
キクちゃんの返事は、こうでした・・・・
ガスの元栓を、閉めているから火は付きません。
キクちゃんなりに、考えに考えて、それならば、火のつく七輪を!!
そういえば、倉庫に前しまって使っていないものがあった。
と、思いついたのでしょう。
なぜ、七輪・・・簡易ガスコンロでなく、七輪???
明治生まれの、考えなのでしょうか?
七輪で、夕食の下準備をすると言う、キクちゃんをなだめ、七輪は高い位置に戻されました。
帰宅した、母にこのことを伝え、話し合い・・・
「ばあちゃん、ボケたんかね?あんなに、しっかりしていたのに・・・」
キクちゃんは、母の実の母です。
今になって、この時の母の気持ちを考えると、辛く悲しかったであろうと思います。
平成2年。この頃は、まだ認知症がそれほど、社会問題となっていない時代。
これから、病院に行ったり、家族で協力する日々が始まりました。
寝たきりになるまでの間、まだまだ、愉快なことをやらかしてくれる、キクちゃんです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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