グレーな、ナースの日常 3

看護

寝たきり・胃瘻・気管切開。
命は助かっても、気持ちはどうなんだろう? 療養に勤めていると考えること。

胃ろうをつくると、命はつなげるけど

慢性期の病棟(療養病床)に勤めていると、対象患者さんは、高齢の寝たきりの方が多い。
状態が悪くなってくると、当たり前だが、ご飯が食べれなくなってくる。
昔なら、そのまま、木が枯れるように命の終わりを迎えていたけど、医療の進化で、
口から食べなくても、栄養が取れるようになってきた。

ご飯が食べれなくなってきた時の、病院でのプロセスはこうだ

  1. 末梢からの、点滴で水分の補充(だいたい脱水状態のため)
  2. 点滴で、食欲が回復しない場合は、鼻から管を入れて栄養剤を注入
     点滴で、水分補給をしてご飯が食べれるようになる人も、中にはいます)
  3. 鼻から管(以下、胃管と言います)は、管理が難しく、病院で管理が必要
  4. 胃管の、ままでは施設への、転院がほとんどできない
     注入・管理が難しいため
  5. 胃管栄養が、長引く患者さんは、胃瘻(直接、胃に穴を開ける)を造ることが、ほとんど
  6. 胃ろうだから、味なんかしないけど、生きるためのカロリーは強制的に摂取できる

そして、胃瘻を造ると、栄養だけは、本人の意思と関係なく入ってくるので、命はつなげる
でも、口から食べないご飯が、どのくらいその人の楽しみとなるのかな?
人間にとって、食べることは、人生のなかで、大きな楽しみ・喜びになっている事か

私なんか、給料出たから、ボーナス出たから、嫌なことがあったから、なんて言い訳を作っては、
美味しいものを食べて、ストレス解消!!しているのに。
カロリー補給のみの、食事で命をつなぐことの辛さは、どれくらいのものなのだろう・・・

寝たきりで、胃ろう患者さんの楽しみはなんのだろう?

胃ろうが、絶対悪いとは言わない。
病気の種類によっては、一時的に必要なこともある。
でも、寝たきりで病院で寝ている患者さんを診ていると、考える。
長期になると、家族の足も遠のいてきて、ただ洗濯ものだけを取りに来る家族も多い。
在宅で、暮らせる患者さんは、まだ家族の生活音や、家族の声掛けがある分、幸せを感じることも
あるだろうけど・・・
入院して、ベットの上で、ただ寝ているのって、どうなんだろう

家族は、患者さん本人がどのような1日を過ごしているのか、見ることは少なく、見ないから、現状の理解ができないのだと思う。

自分は、胃ろうはつくらない と言う家族・医療従事者

高齢になって、胃ろうを造った人たちが、どのような状態になるのか、知っている人たちは、
みな口をそろえて、こう言う
『私は、胃ろうは造らない・造りたくない』
実は、私もそう思っている。
自分の家族にも、造らない。これは、強く思っている。
自分の意志を、表現できなくて、寝て過ごすのって、ある意味拷問に近いように思うのは、自分だけだろうか?

でも、今の日本医療は、寝たきり患者には、胃ろうを造ると、言うのが、スタンダードなので仕方がないのかな?

一度振り返って、考える時期に来ているのでは?とも思う。




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